3.「週休3日」を導入すると、優秀な社員が辞めていく

皆さん、「週休3日制」って耳触りがいいですよね。でも、ちょっと待ってください。本当にそれで会社はうまくいくんでしょうか?優秀な社員が喜ぶどころか、逆に辞めていってしまう可能性はないでしょうか?

「週休3日制」の実態
政府も後押しする「週休3日制」。複数の大手企業が導入/導入検討の動きを見せています。この制度には、幾つかのパターンがあります。

  1. 金曜休を選択し、他の曜日の労働時間を増やして総労働時間を維持
  2. 選択した人の月給を2割減らす
  3. 条件なしで金曜休にする

さて、あなたの会社ではどれを選びますか?それとも、全く新しいアプローチを考えますか?

「非常に人事部的」なアプローチの落とし穴
これらのアプローチ全てが、二つの意味で「非常に人事部的」だと感じます。

  1. 生産性への考慮不足: 月-木に課される2時間弱の追加労働時間。本当に生産性は維持できるんでしょうか?疲労度が増して、かえって効率が落ちる可能性はないですか?
  2. 目標値の修正: 給与2割減を社員が受け入れるのは勝手ですが、組織の全体工数が下がることに伴う目標値の修正まで経営側は許容しているんでしょうか?
    つまり、「ヒトは論理的に動く」という前提のみで考えているということと、「事業成果」の観点が抜けているんです。

リスキリング神話を信じていませんか?
「いやいや違う。その休日でリスキリングの機会となり、結果として生産性が高まるのだ」という論があるかもしれません。でも、これってトリクルダウン論を唱える政治家よろしく、常識的に考えてあり得ないですよね。
本当に社員は自主的にスキルアップするでしょうか?それとも、ただ単に休養に使うだけ?もし本当にリスキリングが必要なら、むしろ会社主導でプログラムを提供すべきではないでしょうか?

誰がしわ寄せを受けるのか
勿論、いち社員にとっては、その選択肢があること自体は嬉しいでしょう。でも、「週休3日だから、組織のパフォーマンス/目標を下げてもよい」という経営判断がない限り、工数の目減りや、勤務管理の複雑化などの穴埋めを誰かがしなければいけなくなります。
つまり、誰にしわ寄せがくるかと言えば、マネジャークラスか、責任感の強い優秀な社員です。結果として、最も頼りになる社員たちの負担が増え、彼らが燃え尽きたり、退職したりする可能性が高まるのです。

新制度導入のあるべき姿
だからといって、新しい制度の導入を否定しているわけではありません。何ごともトライアル&エラーが伴います。ただし、試験導入前だとしても、以下のポイントを十分に検討する必要があります:

  1. 因果関係の把握: 何をやったら、どこに影響が及ぶのか
  2. 数値シミュレーション: 生産性、売上、利益にどの程度の影響があるか
  3. 社員の声の収集: 現場レベルでどのような課題が予想されるか
  4. 段階的導入: 一部の部署や職種から始めて、影響を見極める

人事制度の導入には、人間的な視点に基づいた「ストーリー思考」が重要となります。数字だけでなく、「社員の日々の生活がどう変わるか」「チームの雰囲気はどう変化するか」といった、ソフトな面も考慮に入れる必要があるのです。

さあ、皆さんの会社で週休3日制の導入を検討するとしたら、どんなアプローチを取りますか?単なる制度の導入ではなく、会社全体の生産性と社員の幸福度を高める方法を、一緒に考えてみませんか?

週休3日制に限らず、新しい人事制度の導入方法についてご興味ある方は、ぜひお問い合わせください。御社の状況に合わせた、効果的かつ持続可能な制度設計のお手伝いをさせていただきます。

 

株式会社grament

Contact

Comments are closed.